ハワイではじめての出産・育児記録

2017年6月ハワイにて出産しました。妊娠発覚前から妊娠中の体調心境の変化、ハワイでのベビーグッズの準備、産婦人科のことや出産のことを綴ります。(ただ今過去を振り返りながらこれまでの経過などを更新している最中です。)

出産の記録①~出産当日。ハワイカピオラニ病院での無痛分娩~

出産当日。

今夜(出産当日)は"ストロベリームーン”という射手座の満月らしい。しかも私の誕生日の星座である射手座。なんだか急に胸騒ぎがしました。
もしかして満月の引力にぐいっと引っ張られて陣痛がきたりして(笑)と冗談っぽく夫に話していた私ですが、心中穏やかではありませんでした。

 その夜中3時。

お腹のなかでパチンを弾けるような音?感覚?があり起きました。夢か現実かどちらの世界で起こったのかはわかりませんでした。
後期になってからしょっちゅうなぜか夜中の3時に起きることがあったのですが、どうやらそれは今日の練習だったらしいことに後で気づくことになります。


起き上がってトイレに行こうとすると水のようなものが少し流れる感覚。
なんだか怪しい。もしかしたら破水したのかもしれない。ドキドキしながらとりあえず冷静でいるよう努めました。
しばらく考えてから、夫を起こす。
「破水したかもしれない。でも破水はずっと水が出続けるらしいから今は止まっているからわからない。」

日本でもハワイでも両親学級やお産について学ぶようなところには行ったことがなく、ネットで軽く調べた知識のみしかなく、破水のことも最近検索したばかり。
しばらく夫と話をしてから先生に連絡すると病院に行ってみるよう促されました。
その時点で30分経過。気のせいか徐々に腰が重くなってくる。
入院準備は早くからしていたのでそこに他もっていくものを入れ、着替えもせず起きたままの姿で夫のパーカーを羽織り部屋を出ました。ちょうど昨日の健診で先生に入院準備について聞いていて、なんでも病院で揃っているから帰宅する時の自分の服と赤ちゃんの服、カーシート(チャイルドシート)を持って行けば大丈夫とは言われていたけれど、なんでも揃っているはずがない!(笑)というのが私の考え。よってけっこうな大荷物でした。

車に乗り込み駐車場のゲートがゆっくり開く。いざ病院へ。このゲートが開いている瞬間、夜中3時半すぎの静けさも手伝ってかストロベリームーンの月光の加減なのか妙に神秘的であり、未知の世界へのスタートラインに立ったような気分になりました。そしてそんな神秘的とは真逆、急にふと買ったばかりで冷蔵庫に安置されている”バナナクリームパイ”のことを思いだしました。またここに(家に)新たな命と3人で無事に帰ってきて、あのバナナクリームパイを口にする日が来るのだろうか・・・。出産=命がけ。この概念はどうしても抜けません。

最近日本で無痛分娩で亡くなった、赤ちゃんに障害が出てしまった例、麻酔の危険性、(日本では)無痛分娩で亡くなっている方が多いことなどかなり取り上げられて問題になっていたため、それがずっと私の不安を煽っていたのです。しかし、アメリカでは無痛分娩は一般的。80%以上の人が無痛分娩で出産するということを聞いたことがあります。そして、軍の基地がある場所は自ずと医療技術が高度になるということも聞いており、ハワイの医療技術には少し期待が持てました。そんな不安と安心の波が押し寄せつつ、極力心穏やかでいれるよう努めました。

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(日中に撮ったカピオラニ病院。オバマ大統領もここで生まれたのだとか。)

腰の違和感は車に乗り込む前から少しずつ痛みに変わり、病院までの道中計ってみるときっちり4分おきにやってきました。

こんなにきっちり!!やはり・・・陣痛かもしれない。

そしてはじめて気づきました。

陣痛って腰付近が痛くなるのか!下腹部じゃないんだな。と。

もうストロベリームーンを探している余裕はありませんでした。今となってはせっかくの機会なのでストロベリームーンの写真を撮っておけばよかったと少し後悔。

病院に到着し、緊急病棟の入り口に車をつけてもらい、看護師さんが用意してくれた車いすで診察室へ連れていかれました。
徐々に痛みが増していく中、体重や血圧、血液検査などをチェック。
日本語が話せるスタッフさんは誰もいないので、医療用語などが入ってくる処置の方法などは、その時だけモニターで対応してくれる日本語通訳さんをつけてもらいその通訳さんを介して理解をしました。そんな対応があるとは全く知りませんでした。

ものすごい長くて少し太い針が右腕の内側に5㎝ほどぐいっと入れられ、どうやらそこから点滴など薬が投入させるらしいことを知りました。普段ならそんな長い針を見たら恐怖におののくのですが、もうこの時点で痛みがかなり強くなっていたため、なんでもいいからとにかくやってくださいという気持ちでした。

その後、破水の検査になり透明のプレパラートのようなものに破水した羊水らしきものを付着させ検査にまわされました。
検査の結果待ちの時点でなんともいえない腰付近の痛みと内臓が押し出されるような感覚(赤ちゃんが出ようとしている感覚?)でした。 しかし、プレパラートのようなものを見た瞬間、あ。あれはプレパラートっていう名前だっけな合ってるかなどうかな。などと考えていたということは、まだ少しは余裕があったのかもしれません。
ラッキーなことが一つあり、たまたま前日の夜は夕ご飯を食べておらず、昼ご飯のかつ丼を2時か3時頃に食べ、その後アイスを食べたくらい。麻酔の注射をしてもらうにしても何か処置してもらうにもおそらく食べてから長時間経っている方がよかったはず。さらに、ここらへんで浣腸などをされて便を排出させられるところだと思いますが、それもなく。今考えると何もかも出産の準備が整っていた気がします。

破水検査の結果、陽性。

やはり破水していたんだ・・・。

もしそのまま放っておいたらどんどん水が流れて胎児が苦しい思いをするかもしれない。下手したら手遅れになって障害が出てしまう可能性だってある。病院に来てみてよかった。

ほっとしたのも束の間、今日出産するという心の準備ができていないことにはっとしました。
破水検査の後、車いすに乗せられさっそく分娩室へ。体は勝手に運ばれていくけれど心が診察室においてけぼりにされている何とも言えない感覚でした。

そしてベッドに寝かせてもらい陣痛と格闘。かなり痛みは強くなってきて正直耐え難い痛みの波がやってくる。それと同時に何かが・・・赤ちゃんが出てこようとする感覚。

早く麻酔をーーーと思いきや、とりあえず腕の(軽い?)麻酔から開始されると。
しかし、腕の麻酔は本人も赤ちゃんも眠気がくるため、もし子宮口が大きく開いていると赤ちゃんにも麻酔が効いてしまい眠ってしまい自力で出てこれなくなる。よって子宮口の開き具合によっては打つことができない。と言われました。
調べてもらうと、なんと子宮口8㎝。(最大が10㎝?) 麻酔できません。

え。もう生まれるってこと( ゚Д゚)

冷や汗が出てきました。

無痛分娩を選んだのに通常の分娩で生むことになるかもしれない・・・。

それこそ心の準備ができていない。自然分娩で生んだ方々みんなが通ってきた道なのだろうけれど・・・ヘタレの私には耐えられる気がしない。こわい。こわすぎる。でも出てきてしまうなら・・・腹をくくるしかない・・・けど・・・。依然気持ちがついていかずおいてけぼりになったままただひたすら陣痛の痛みに耐えていました。

その間、看護師さんが大慌てで硬膜外麻酔を担当してくれる麻酔師に連絡。が、どの人も違う手術で手一杯だったり電話にでなかったり全然つかまらない。
夫は陣痛でもがき苦しむ私の腰を揉んでくれたり看護師さんが用意してくれたカイロのようなもので温めてくれ、そのお陰で少しだけ痛みが紛れている気がしました。テニスボールで腰付近をぐりぐりすると紛れるという情報を得ていたので、持ってくるかどうか迷っていたのですが、今となってはなんとなく紛れそうな感じがわかります。持って行けばよかったと少し後悔しました。

何分何時間経ったか分からずしばらくすると、急に体がガタガタと震えて吐き気も出てきて何度もえずきました。未だかつてこんなに震えたことがあったか・・・明らかに体に異変が起きているという感じ。しかしここでもお昼のかつ丼以降食べていないことが功を奏し(←というか体が勝手にしたことですが)吐くことはなく。食べなくてよかったと再び思いました。

どうしようもなく痛みに耐えること数時間、看護師さんとまだ到着しない先生の電話でのやり取りで許可が下り、とりあえず腕の麻酔をしてもらえることになりました。しかし、腕の麻酔はしっかり効いていたんだかどうだったのか、もう今となっては忘れかけています。

夜中3時半頃から続く陣痛。朝7時頃でしょうか、ついに一人の麻酔師さんが到着しました。手術が終わってかけつけてくれたようです。なんとも神々しく見えました。(やはりこの時点で腕の麻酔はあまり効いていなかったのかもしれない)
ここから硬膜外麻酔に移行することに。 
まずは麻酔を打つにあたって注意点を聞かされました。

絶対に絶対に動かなこと。

え・・・それってまさかやっぱり相当痛いってこと??そして動いたらどうなるの?針が違う所に入って母子共に危険な状態になるの?

たしかにネットで調べると、麻酔は陣痛より遥かに耐えがたい痛みを伴い暴れ狂うほどという記事を見たことがありました。そして、日本で死亡例が多発している硬膜外麻酔の原因は、たしか麻酔針が違う所に入ってしまったり緊急事態の処置の体制が整っていない産院が多く、何かあった時の対応ができていないということだったはず。

どうなってしまうんだろ。こわい。

でもお産の痛みも相当なものなはず。ずっとこれから続くであろう陣痛とお産の痛みを考えると数秒で終わるであろう麻酔に頼らざるを得ない。一時の激痛は避けて通れない。
夫は病室から一時的に出されました。暴れ狂う妻の壮絶な光景を目の当たりにしてショックを受けないようにでしょうか。

一人の看護師さんが私の体をこれでもかと力強くギュッと抱いて押さえつけてくれました。こわい、こわい。いつくるんだ、いつくるんだよー!(背中から打つので見えない)
が、気づけば終わっていました。そう、なんとその頃になると腕の麻酔がかなり効いていたようで感覚がなかったのです。
すごい!すごいわ!よく頑張ったね。と看護師さんに大絶賛され、わーいと喜びつつ、感覚が・・・痛みが全くなかったんです(笑)と心の中でつぶやき、ほっと一息。

その後、ゆっくりベッドで横になっていると本当に痛みはなくなり、ただ何かが・・・赤ちゃんが出てきそうな感覚のみが分かりました。どうもその感覚が気持ち悪いけれど、痛みがないだけ余裕があります。

部屋での写真撮影もOKとのことで、夫に病室の写真や痛みに耐えている風の私の写真をお願いしました。

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(緑が陣痛に耐える私)

これは、生まれてきた赤ちゃんが中学生くらいになってグレた時に、母はこうやって痛みを我慢して耐えてあなたを生んだのよ!と泣きながら見せるため用写真。(無痛分娩ということは内緒)

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(ベッド側からはこんな感じ)


いきみたくなったら教えて。と言われ、ほんの数分間隔で出てくるような感覚があるためいきみたくなるけれど、この感覚がどのくらいのものなのか、まだ我慢した方がいいのかが分からなくて困りました。前にネットで検索した情報で、まだいきんではいけない時点に有効ないきみ逃しの方法など紹介されていたことを思いだしたけれど内容は覚えていなくて、ちゃんと読んでおけばよかったなーと思いながらとりあえず力を抜いておきました。

そして依然、先生は到着せず。いきみたくなったところでここに先生がいないことには・・・ねぇ(笑) と思いつつ待ち続けました。

その後、先生到着。

尿道に管を入れられ尿は自動的に排出されるとか。そして子宮口のチェックを受け、もう少し時間がかかりそうという判断。

プッシュ開始は、9時15分からにしましょう。と。

先生達は違う部屋に戻っていき、私は痛みがないためわりとリラックスしながらぼーっと待ちました。

麻酔は、常に効いているわけではないようで、痛みが出てきたら備え付けられているボタンを1回押すと麻酔が投入されるというシステムで、待っている間、少し陣痛のような痛みが出てきたためボタンを1回だけ押してみました。
すると赤ちゃんが出ようとしている感覚すら分からなくなるくらい麻酔がよく効いて、あれ・・・これ・・・ボタン押してよかったのか?という一抹の不安を感じつつ。麻酔師さんの麻酔のかけ方ってものすごく絶妙!さすがプロだわーすごいわーと感心していました。

9時15分になりプッシュ開始。

出てくる感覚すらなくなったため赤ちゃんと呼吸をあわせていきむことができないのでは・・・と思いつつ、まずはプッシュ方法を教えてもらいました。

赤ちゃんの出ようとするタイミングでお腹に力を入れて10秒間ふんばる×3セット→酸素マスクをして酸素をたくさん送りつつ休憩して次の波を待つ。の繰り返し。

看護師さんがモニターを見ながら、お腹を触りながら合図してくれて、プッシュ。
しばらくすると痛みはないものの赤ちゃんがお腹から出ようとしている少しの感覚でプッシュのタイミングがわかりはじめ、自分で合図してできるようになりました。

9時15分からプッシュ開始で10時26分、誕生。

破水したのが3時だったので、そこから数えると約7時間半での出産でした。体感では2時間ほどしか経っていない気がしていたのですがいつの間にか窓の外が明るくなっていました。

赤ちゃんとへその緒が見えて、うわ!本当に人間が入っていたんだな!へその緒って白いのか!という驚きが感動を上回っていたというのが正直なところ。

そして、泣いている赤ちゃんをそのまま抱っこさせてもらうと、よくがんばったねという気持ちと、これからの人生きっと色んなことがあるけれど私が守らなければ、そして私も守ってね(←ちゃっかり)、一緒に成長していこ!という気持ちが出てきました。友人から、赤ちゃんもお母さんも1年生だから気負いすぎないように、一緒に成長していけばいいという言葉をもらっていて、その言葉を赤ちゃんと過ごす心の中の教訓ノート1ページ目に書いていたので、きっとそういう気持ちが出たのだと思います。

へその緒は夫が切りました。10か月ほど繋がっていたそのへその緒が切られる瞬間は少し切なくもありました。
赤ちゃんの身体測定などしてもらい、私は、産後の処置などを受けつつただただひたすらぼーっとしていました。この間も麻酔が効いているため痛みはなく。

胎盤とへその緒を家に持ち帰るかどうか聞かれ、へその緒は一応持って帰る用に短く切ってもらい、胎盤は見るのも怖くて要らないと答えました。なぜかサインをさせられたのですが、プラセンタという単語を聞いた時にはっとしました。プラセンタ(胎盤)ってたしか何かの医療に役立つんじゃなっかったですっけ?再利用されるのでしょうかね。せっかくなので何かに役立つのなら再利用してもらいたいですが。

そういえば、サインで思いだしましたが、病院に駆け込んでから何度もサインの機会がありました。おそらく基本はこれこれこんな処置をしますよろしいですか?という感じですが、何が起こっても文句言えません的な要素が存分に含まれていると思います。しかし陣痛の最中余裕もなく、ひたすら震える手で汚い字のサインをしていました。こんな時、借金肩代わりの借用書などをさっと出されてもさらっとサインしちゃいそうな・・・。

そんなこんなですべての処置を終え、麻酔の薬から子宮復古を早める薬に交換され、入院する病棟まで車いすで連れて行ってもらいました。

部屋までの道すがら妙な達成感が溢れ出てきました。

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ここが私の部屋。

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奥にはソファがあり、夫が横になっています。

右には赤ちゃん。しっかりおくるみされていて三角形のおむすび形をしていたので密かにおむすびくんと呼んでいました。

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病室は、思っていたよりも狭かったけれど快適な部屋でした。このボタンで角度や上下が変えられるベッドって初めてだったのですが、自分で調節して寝心地良くできるしいいですねー。


ベッドに寝てしばらくぼーっとしつつ足をつねってみるとまだ麻酔が多少効いていて感覚は完全にはもどってないみたいでした。
いつ麻酔がきれて、後陣痛と呼ばれる子宮の急激な収縮の痛みなどが出てくるのだろうとびくびくしながら、とりあえず体を休めることに。
とはいえ、看護師さんやバイタルチェック、お掃除、ゴミ収集など色んなスタッフさんが病室にひきりなしに?来るため意外にゆっくりもさせてもらえなくて案外ストレスが溜まった気がします。そして昨日のお昼から何も食べていないためお腹も空いていてご飯はまだかまだかと思いつつ過ごしました。
しばらくして麻酔がきれたのだろうか足に感覚がもどっていることに気づきました。
が、痛みという痛みはなし。後陣痛は人によってはかなり痛いと聞いていたので覚悟してうずくまって耐える準備もしていたのですがなぜかありませんでした。妊娠ハイで麻痺していたのか?
トイレ介助は2回。尿が出たか、出たらどのくらい出たのか測ってもらわないといけないようでトイレに測るための入れ物を設置してくれます。
ネットでは産後すぐ尿が出なくて管を通してもらうしかなかったという記事をいくつか見たけれど、私は麻酔がきれたからにはもうこれ以上何か処置されて痛いと困ると思い、すでに尿を出すようイメトレをしており案外すんなりできたのでよかったです。イメトレが効いたかどうかは分かりませんが。

そういえば、出産前に大好きな”この木なんの木(日立の樹)に安産祈願に行こうと思っていたのですがその前に出産してしまったため行けなかったなーと思っていたのですが、病室の窓を開けてみると、目の前に”この木なんの木”と同じ種類のモンキーポッドの木が見えたのでなんだか癒されました。

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そして、お昼ご飯の時間。

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なんと油ギッシュなフライドチキン!

病院でえらいもの出してくるなぁー、でも病人じゃないからいいのか?どうなの?と笑いながら夫と一緒に完食しました。

この後からの入院中の食事は、スペシャルメニューも含めて一日3食全て自分でカスタマイズできる方式でした。メニュー表を渡されチェックを入れていくというもので、考えなしに適当に食べたいと思ったものにしるしをつけて提出していると、出てきてうわっ(笑)と驚くこともあり、なかなか楽しめました。

その全食事をまた後日このブログにアップします。